「おもむくままに」 スペイン短歌紀行 中島孝夫 (2002年 夏) 


スペイン短歌紀行-4 2002年 夏(VERANO 2002)
2002年8月初旬、中世スペインの面影をそのままに残し、レコンキスタにゆかりの
深いエストレマドゥラExtremadura、カセレスCaceres、メリダMerida、トルヒーリョ
Torjillo、グアダルーペGuadalupe、を訪れる。

 マドリッドMadridから車で、真夏の太陽の光と陰に彩られたオリーブ畑と赤茶けた台地
の中をCaceresに向かう。
スペイン短歌紀行/2002年8月/エストレマドゥラ編
カセレス(1)-カセレス(2)-メリダ-トルヒーリョ-グアダルーペ

<カセレス CÁCERES
限りなく続く平原荒涼と中世の町カセレスめざす
Llanura dura e infinita.
 Camino de Cáceres,
 ciudad medieval.
カセレスの町

スペインの中でカセレスCaceresが最も中世の町並みを残しているという。
城壁に囲まれた町の路地を歩いていると、中世の時代にタイムスリップし、
今にも中世の騎士が目の前に現れるのではないかと思うほどである。
サン・マテオ教会
早朝、日の昇る前の薄暗い町を散歩する。
朝まだきサン・マテオの教会の塔の上に三日月見ゆる
La mañana al caer.
 Sobre la torre
 de la Iglesia de San Mateo
 se mece
 luna creciente.
                   (Iglesia San Mateo)

三日月と淡き黄色の街灯に照らし出される中世の町
Luna en crescendo.
 Farolas como soles
 iluminan
 la ciudad antigua.
                     (Madrugada)
城壁と路地
中世の時代を髣髴させる石畳の道を歩く。
中世の騎士が歩きし石畳われ騎士の如くさっそうと歩く

Los caballeros de antaño
 caminaron .
 Yo, como ellos, piso
 el empedrado
 con decisión.
                 (Camino empedrado)

ブハコの塔 Torre de Bujaco
カセレスCaceresの歴史に思いをはせる。
荒削りの塔は今もなお聳え立つレコンキスタの戦いを経て
町並み
中世の石の建造技術に驚く。
カセレスの城塞内の建物は石と赤土の粗造りなり
ちいさなアーチの門
路地を迷い歩く。
城壁をえぐり造りしアーチ門荒き削りの文様うかぶ
Arqueada puerta
 abierta en la muralla.
 Huella en relieve
 de tosca mano tallada.
                   (Puerta de la muralla)

目の前の丘へ向かいしと思えども気づけば城塞の中をめぐりいる
城壁
石に囲まれ音響効果のよさそうな場所があり、
赤茶けた城壁の下の空間は野外劇場にふさわしきかな
町の中には落書きもゴミもなく、
カセレスの城塞の外は朽ちしども城塞内は文化遺産なり
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