おもむくままに スペイン短歌紀行-6 中島孝夫 セゴビア編 夏 


スペイン短歌紀行-6

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セゴビア Segovia
2003年初秋、ローマ時代の水道橋が現存し、華麗なアルカサルが聳えるセゴビアを
訪れる。
<旧市街>
街はエレスマ川とクラモレス川に挟まれた丘の上にあり
<ローマ水道橋 Aqueducto Romano>
橋は長さ730・高さ30メートル、アーチ170個あり
大小さまざまな石を積み重ね接合剤は使っておらず
1900年の間立ちつづけている水道橋はびくともせず
今なお水道管が設置されている水道橋に頭を下げる
水道橋を見上げれば今にも頭上に石の崩れ落つるかと
Levanto la cara
 hacia el Acueducto
 ¿Y si las piedras
 se vinieran abajo?
               (Acueducto)

<カテドラル>
踏み違え平原に登ればカテドラル目の前にかがやけり
露地路は細くくねりて家々の陰にカテドラルを見失う
生命の木(El Arbol de la Vida)と題しキリストの生涯を描きし特別展あり
生命の木はキリストが十字架にかけられ復活せしことを意味する
十字架にかけられ血流しいるキリストの絵画あまたありて吐き気す
<アルカサル>
アルカサルは城塞、王宮、牢獄と多目的に使われたり
華麗なるアルカサルの塔は鋭き槍の穂先の如し
Del rico Alcázar
 la torre parece
 punta de lanza
 semejando una espiga.
                 
(Alcázar)
152段ある塔を登りゆけば膝ふらつき息切れする
後ろから石段を数え軽々と登りくる子供の声する
<城壁>
城壁の内側沿いの歩道には人影みえず気ままに歩けり
アルカサルより城壁に沿い水道橋まで歩く1時間かけ
斥候の如く城壁の下より崖を這い登りゆく息を切らして
Como soldado de avanzadilla
 trepa arrastrándose
 por las murallas del castillo,
 la respiración a cortes.....
                    
(Murallas)

<サン・アンドレス門 Puerta de San Andres>
小さな門なれども厚さ五メートルあり敵を防ぐに十分なりし
<緑地散歩道>
川沿いの緑地歩道に湧き水が高く弧を描きてほとばしる
Por la vereda verde
 que el río bordea
 fluye el agua
 dibujando un arco
 
en su constancia.
散歩道を辿りゆけば城壁が緑の葉陰から顔を出す
Paseo por la ladera
 que el Alcázar bordea.
 Asoma su faz
 por entre la oscuridad
 de las verdes hojas.
                
(Vereda-Paseo)
どっかと岩の上のに腰おろし祖母の夕食に魚つる少年は
<ラ・ベラクルス教会 Iglesia de la Vera Cruz>
13世紀の教会は12角形、いまもボダ(Boda結婚式)に使われている
<エル・パラル修道院 Monasterio de la Parral>
550年前の佇まいそのままに丘の中腹にたつ
生涯を神に捧げる修道士に挨拶せんと聖域のぞく
Terreno sagrado pisando
 con la intención de saludar
 a los monjes
 que a Dios
 ofrecen su vida.
             
(Monasterio de El Parral)

<サンタ・クルス修道院 Covento de Santa Cruz>
13世紀の修道院は今やSEK大学に変貌したり
<サン・エステバン教会>
美しき塔なれども中に入れず我の欲求満たされぬまま
<有名なレストラン>
ーレストランA店ー
銘柄指定せずワイン注文すればクエンカ産のワイン出さる
美味しかったと告げつつ店出れば背後より楽しい旅をと声かかる
ーレストランB店ー
若き女のカマレラ(Camareraウエイトレス)に一人用のテーブルないと断られたり
遠き日本より訪れし旅人もてなすやさしき気持ちなきや
伝統ある店にかこつけて金もうけ主義に毒されしか
ーレストランC店ー
若き男のカマレロは軽快な身のこなしでテーブルをセットする
料理の味にも店の雰囲気にもサービスにも満足したり
若き男のカマレロに美味しかったと言いたればにこやかにうなずきぬ
<マヨール広場 Plaza Mayor>
昼食にクエンカ産のワイン飲めば世の中真っ白けとなる
カテドラルを仰ぎつつマヨール広場のベンチでひと寝入りす
<一人旅>
一人旅しているとささいなことで傷つきまた慰められもす

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