おもむくままに スペイン短歌紀行-6 中島孝夫 サラマンカ編 夏 


スペイン短歌紀行-6

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 サラマンカ Salamanca
2003年夏、スペイン最古の大学、サラマンカ大学のある学園都市、サラマンカ Salamanca
を訪れる。
<サラマンカ大学 Universidad de Salamanca>
ー大学ー
厳粛なスペイン最古の大学は修道院の雰囲気もてり
La más añeja universidad
 de la austera España
 
y su faz de monasterio.
ー講義室ー
講義室に荒削りの丸太ならぶ年輪の浮く机と椅子なり
Grabadas del añeja áula
 filas de madera.
 Asientos y pupitres
 dicen su vetustez.
ー哲学部 Palacio de Anayaー
ウナムノが創設したる哲学部今なお数多の学生学ぶ
De Unamuno fundada
 cátedra filosófica.
 Aún la frecuentan
 copia de alumnos.
                 (Universidad de Salamanca)
ー夏季スペイン語講座ー
日本人学生の顔もちらほら見受けられ喜ばしきかな
<ポンティフィシア大学 Universidad Pontificia>
サラマンカ大学との関係問えば”ない”と対抗意識燃やせり
<旧カテドラル・新カテドラル Catedoral Vieja/Nueva>
旧カテドラルは12世紀、新カテドラルは16世紀に築かる
新旧の大聖堂は夏空に覇を競うが如く聳え立つ
Nueva y Vieja,
 las catedrales se levantan
 hacia el cielo veraniego
 en competición sin fin.
                
(Catedral Nueva y Vieja)
 
ローマ橋より左に旧、右に新カテドラルを眺む、旧が良い
大聖堂には聖人君主の墓あまた祭られ霊魂を感ず
世の中で最も美しきは聖母なり一日見ていても飽きぬ
カテドラルの前で奥の細道・平泉の章を朗詠する
カテドラルを見上げつつ夏草しげる高館の廃墟を憶う
早朝に城壁跡を辿りゆけば野鳥がわれを迎えてくれる
Mañana temprano,
 siguiendo el rastro
 de la vieja muralla,
 canto de pájaros
 me agasaja.
                  
(Restos de la muralla)
<ウナムノの家・博物館 Casa-Museo Unamuno>
ウナムノが住み居し家の書斎に立ち哲学者の面影浮かべる
De pie ante el escritorio
 de Unamuno habitada casa,
 el rostro del filósofo
 se me dibuja.
                
(Casa Museo de Unamuno)
<サン・エステバン修道院 Convento de San Esteban>
保存工事の騒音ひどく駆け足でめぐるもやむなし
<学園都市>
学生の町は生気に満ちあふれ道行く人の足どり速し
<植物園 Huerto de Calixto y Melibea>
わずかに残る城壁の跡は植物園になり人の憩い居る
学園都市には城塞は不要なり学問は武力を凌げり
<聖母の絵画>
若き女の愛らしき笑顔に誘われ工芸店で聖母画求む
<レストラン・パエリャ>
マリスコのアペリャを注文したならば出てきたパエリャはおじやに似たり
<若きカップル>
灼熱の陽の下で抱き合うてこれ以上暑くしないで、そこの二人
<写真店・現像>
1時間現像あり頼めば翌日になると誇大広告なり
<一人旅>
若き女の一人旅してるは何となく寂しげなリ、我はいかに
<マヨール広場>
マヨール広場は若き女達のへそ丸出しファッション会場なり
<黒きドレスの女>
陽光の広場に突然現われし黒衣の女は黒塊となる
De pronto aparece
 en la soleada plaza
 toda en negro enfundada
 de azabache roca ambulante.
                       (Plaza Mayor)
<昼食>
中華飯店を探し街を歩けば思わぬ史跡に行き当たる
<テレビ番組・アメリカ映画>
アメリカ映画の放映多しスペイン文化にアメリカの色つく

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