日本短歌紀行 「信州」


その日、その時
その日、その時(1)蓼科、米国、恩師
その日、その時(2)NHK大河ドラマ,龍馬伝
その日、その時(3)鬱の心、その女、我が心に棲む鬼、詠み芝居「おたふく」
「信州」(1)春日温泉、茂田井宿、望月駒の里、望月宿、望月榊祭り
「信州(2)」〜望月・茂田井・春日・佐久散策〜

望月・茂田井・春日・佐久散策
望月
駒の里:
望月は1千余年のむかし 歌人紀貫之に詠まれた駒の里で 古代信濃の官牧の
中心だった。
望月は紀貫之の詠いたる「望月駒」の勅使牧なり
望月駒のロマンは馬事公苑によみがえる。
駒の里にあかるい初夏の陽を浴びて二頭の馬は頬を寄せあう
馬の背にうち伏し動かぬ障害児 馬のぬくもり母の背に似たるや
障害児は4人の大人を従えて馬の背にのり馬場を一周す
あどけなき少女は一人で荒馬の心なごます円運動す
若き女の手綱さばきに見とれおり我の肩にも力はいりぬ

旧中山道・望月宿:
江戸時代には江戸と京都を結ぶ中山道69次の25番目の宿場町として栄え 
皇女和宮の行列が通り 幕末には水戸天狗等が駆け抜けた街道筋にある。
慶長の宿場のにおい残しつつ本陣跡に歴史館立ちぬ
真山家は切妻造り平入りの望月町の文化財なり
高台にビルの新しき役場あり 旧街道に人影見えず
望月の宿場町より眺めいる山城址に桜の咲きて

榊祭り:
大伴神社の例祭は火祭りで 松明を手にした若者が 次々と山道を駆け下り 鹿曲川に
松明を投げ込む。
子供らは榊御輿を手にささえ黙々として炎天に立つ
若者の榊御輿のねりしあと乾いた街道にけだるさ漂う
松明に大伴神社の神火燃え望月の夜に火祭りはじまる
松明を肩にかつぎて駆けてくる男児の頬は赤くふくらむ
松明を振り回し駆ける若者の日焼けし肩は黒く光りて
松明は鹿曲川に放たれて赤き弧となり闇に消えゆく

茂田井 間の宿
望月宿跡から約3キロの距離にある茂田井には 狭い街道に沿って白壁や土蔵が
今なお並びたっている。
白壁の蔵たち並ぶ茂田井宿 くねる街道は歴史を守る
この地は信州でも有数の酒どころ 牧水もこの地を幾たびか訪れている。
牧水も4百年の歴史持つこのうま酒に酔いしれたるや

春日温泉
山間のいで湯で一頭の鹿が湯につかり傷を治しているのを猟師が見つけた
ことから”御鹿の里”と呼ばれる湯治場であった。
御鹿の湯で鹿は体の傷いやし我は心の傷をいやしぬ
布施温泉
岩風呂の淡きルビーの色したるやわらかな湯にこころ鎮める
鎧つけし一日の心のほぐれきて湯舟に浮かぶ軟らかき顔