『源 頼朝』
EL GENERAL YORITOMO
吉川英治作
~七百年の武家社会を築いた
《武将 頼朝》を詠う~


彷徨い人 中島孝夫

スペイン語訳:
アントニオ ドゥケ ララ

篠笛(横笛)『京の夜』
福原一笛 演奏より

《29.鎌倉へ》

2021年5月13日(更新)

* 頼朝は
   源氏にゆかりのある者たちへ
    密書を送りぬ * 頼朝は
   安房に上陸して半月しか
    経たぬのに焦心していたり
源頼朝像(鎌倉/源氏山公園)


* 盛長は
   頼朝に告げぬ”常胤殿は
    ご加担を約束されたり” ~~ * 藤九郎
   盛長は下総より帰る途中
    頼朝の出動を聞きぬ ~~ * 総勢
   三百余人となり 公然たる
    源氏の出動となりぬ ~~ * 北条時政
   以下の者も安房を引払い
    頼朝に追いつきぬ ~~ * 頼朝は
   仮住居の寺院を発ちて
    安房から上総へと向いぬ


* 頼朝は
   時政、その他の将を集め
    評議を始めたり ~~ * 頼朝は
   ”鎌倉へ鎌倉へ鎌倉へ”
     と何度も呟きぬ ~~ * 頼朝は
   天来の声でも聞いたが如く
    瞳をあげぬ ~~ * ”相模の
    鎌倉に お拠りあるが上策、
     との事でございまする” ~~ * ”安房
    上総は 佐殿のご宿所として
     要害とは申されぬ”


* 頼朝は
   ”われと供に”と五百の兵の
     先に立ち 鎌倉へ進みぬ ~~ * 頼朝
   告げぬ”鎌倉は 源氏に
    由緒の深い地なり”