「おもむくままに」 スペイン短歌紀行-5 中島孝夫  レオン編 夏  


スペイン短歌紀行-5
2003年7月、サンティアゴ巡礼の道(Caminode de Santiago)の中から、パンプローナ(Pamplona)-
ブルゴス(Burgos)-レオン(Leon)-サンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)の
各主要都市を訪ねる旅にでる。
スペイン短歌紀行/2003年7月/パンプローナ編-ブルゴス編-レオン編
 昨日23日にLeonからバスでSantiagoに入りました。 午後4時30分にLeonを出発し、10時30分に
Santiagoに到着、6時間のバスの旅でした。 歌にも詠んであるように腰痛に苦しんでいます。昨夜は
這うようにしてホテルにたどり着きました。 今までの海外生活や海外旅行で経験したことのないカメ
ラの盗難や腰痛に直面し困惑しています。 
Leonで詠んだ歌をお送りします。 2003年7月24日付

レオン LEÓN
 カスティーリャ・イ・レオン(Castilla y Leon)の旧レオン王国の首都であったレオンに入る。 
<カテドラル Catedoral>
天上のステンドガラスを見上げいるあごに手をそえ心ゆくまで
Manos cruzadas
 bajo la barbilla
 contemplando vidrieras.
 El corazón camina
 hacia su gozo.
                    (Catedral)
<サン・イシドロ教会 Basilica de San Ishidro>
長々しきガイドの説明の飽く一人気ままに見学したい
<旧サン・マルコス修道院 Monasterio de San Marcos>
時代経て修道院は教会・博物館・パラドールに変身す
<カサ・デ・ロス・ボティーネス Casa de los Botines>
ガウディの建物は異色を放つ天才の作品は永遠なり
薄茶色の気品あふるる建物を眺め自答す、さすがガウディや
Los ojos admiran
 del edificio
 - translúcido marrón –
 la elegante prestancia.
 No podía ser otro:
 Gaudí.
                   (Casa de los Botines)
<城壁 Muralla>
城壁はカテドラルよりサン・イシドロまでの往時の面影を残す
<病院 Ntra.Sra.de Regla> 
興味引く建物目につき中にいれば病院なり急ぎ逃げ出す
<巡礼者救護院 アルベルゲ Albergue>
レオンは巡礼路の要所にてアルベルゲは警察署に隣接す
<旧市街 散策>
ずらりと並ぶ土産物屋それぞれの専門店で競合えり
日本の民家に似たる建物は16世紀に建てられし教会
日本の料亭かと見まごう造作の建物は生鮮食料品市場なり
旧市街をめぐり歩けば腰と膝に痛みあり不安がよぎる
<旧市街 ストリートパフォーマンス>
7名のボーカル付きの楽団の生計維持の心配をする
<カフェ・バー>
客の子が悪戯すれば叱りつける店の女将のしつけ懐かし
Hijo del cliente,
 como niño, travieso.
 La dueña y su riña.
 ¡Tiempos lejanos!
                 (Cafetería)
<ホテル 朝食>
けたたましき団体客はビュッフェに群がりて朝の静けさ奪わる
<ピザ・レストラン>
ピザの店で昼食をとるわれの他に客は居ない良い店なのに
<若き女>
若き女は己の肢体をさらけ出す花の盛りを誇るが如く
Joven en flor,
 orgullosa belleza,
 enseña la tersura de su piel
 cuando
 se contonea.

若き女はへそにリングをぶら下げて闊歩してくる、痛くないのか

Anillo,
 pendiente del ombligo,
 contoneándose camina
 la jovencita.
 Y me pregunto
 si no le duele
 tal maravilla.
               (En la calle)

<携帯電話>
スペインも携帯電話が満ちあふれカテドラルの中で”もしもし”と
<長距離バス>
発着表示もアナウンスもなく係員もいないバスターミナル
バスの運転手と口論するすべて不親切な案内ゆえに
そばにいた若き女の説明で怒りおさまり平静さもどりぬ
重い荷物をそろりとバスに積み込む腰に鋭き痛みあり
<腰痛>
散策の楽しみ不意に断ち切らる腰にするどき痛み走りて
Del paseo la alegría
 guillotinada.
 Sin avisar, de cintura
 dolor inmenso.

腰に痛み走り立ち上がれずサンチャゴへの苦難の旅はじまる
腰痛に耐え忍んだ六時間サンチャゴまでの苦難の旅路
El dolor de cintura,
 un trago.
 Difícil trance,
 seis largas horas
 hasta Santiago.
                
(Dolor de cintura)