おもむくままに スペイン短歌紀行-7 中島孝夫 サラゴサ編  


スペイン短歌紀行-7

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2003年9月中旬から下旬にかけて、クエンカ Cuenca-テルエル Teruel-サラゴサ Zaragoza-
ソリア Soriaを訪れる。
クエンカ テルエル サラゴサ ソリア

<サラゴサ ZARAGOZA
 2003年9月中旬、アラゴン州(Aragon)の首都であり、スペイン第5の都市でもあるサラゴサ(Zaragoza)を
訪ねる。
<エブロ川>
エブロ川の流れは褐色に濁りてナポレオン軍を恨むが如
エブロ川濁流うずまく川岸に聖母教会歴史を刻む
En la ribera
 que riega abundoso Ebro,
 el templo del Pilar
 esculpe la historia.
                  
(Río Ebro)
<侵略・破壊>
旧市街にはナポレオン軍に侵略破壊されし傷跡残れリ
貴重な中世の建物が破壊されしこと取り返しがつかぬ
ナポレオン軍に抗すべくもなく侵略されしサラゴサ、無念なりや
スペインは中南米諸国の文明を滅ぼしたる歴史もつ
スペインも自国の文明をフランスに破壊されしは皮肉なり
他国に侵入しその文明を破壊する愚は許されず
<アラゴン博物館 Museo de Aragon>
サラゴサにローマ遺跡あまたありてローマの強大さに驚けリ
思いもかけずゴヤの描けし宮廷画とゴヤの胸像に会えり
<ピラール聖母教会 Basilica de Ntra. Senora del Pilar>
朝焼けに聖母教会うっすらと霧の中より姿あらわす
Al amanecer
 el Pilar se adivina
 tímidamente
 
entre las brumas.
朝9時のミサにはじまりて清き歌声はオルガンの音色に溶けこむ
ゴヤとベラクルスの天上画を見んと上ばかりみて歩く我は
宗教画に宿る画家の魂は萎えたる体に力与える
El alma del pintor
 escondida en los recodos
 del cuadro sagrado
 insufla fuerza
 al debilitado cuerpo.

清浄な聖母信仰たおやかなり心に沁みるミサの歌声
Límpida creencia mariana.
 El canto de la misa
 riega el flexible corazón.
               
(Basílica del Pilar)
<カテドラル>
目の前の聖母教会うやまいて大聖堂は慎ましやかなり
La Catedral,
 mostrando sus respetos
 al Pilar ante sus ojos,
 aspecto de modestia.
祭壇の繊細精緻な彫像は神の御手にて彫られ給いしか
La delicada fábrica
 escultórica del retablo...
 Quién sino Dios
 dirigió la mano
 maestra....

聖ヤコブ長き杖もち勇ましく武人姿で祭壇に立つ
Santiago se levanta
 en el retablo
 cual guerrero valiente
 portando larga vara.
               
(Catedral)

<アルハフェリア宮殿 Palacio de Aljaferia>
発掘されし宮殿の遺跡は新しき建物で覆われている
20世紀後半にアラゴン州国会はこの宮殿に移れリ
<カルメンの門 Puerta de Carmen> 
ナポレオン軍に破壊されし市壁の無残な跡は記念碑と言えり
<ローマ時代の遺跡>
ローマ遺跡の発掘現場に深き穴あきて身を乗り出しのぞく
<ピラール広場 Plaza de Pilar>
広場にあるゴヤの胸像は恰幅よく絶頂期の顔している
<聖母画>
大きな荷物になるとわかりつつもなぜか聖母画を購入す
<パソコン>
わがパソコンはついに臨終を迎えたり応急処置もむなしく
<長距離バスターミナル>
バス会社ごとのターミナルは旅人泣かせなり統合できぬかや
<政府・銀行の建物>
政府・銀行の建物は古きも新しきも大きな建物多し
<手足の骨折>
街を歩きて目にするは手足を骨折せし人の多きこと
骨のもろさは甘いもの食べすぎと食生活に問題ありや
<若き女>
若き女は腰下までずり落ちしパンツはき携電手にしかっ歩する

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