『源 頼朝』
EL GENERAL YORITOMO
吉川英治作
~七百年の武家社会を築いた
《武将 頼朝》を詠う~


彷徨い人 中島孝夫

スペイン語訳:
アントニオ ドゥケ ララ

篠笛(横笛)『京の夜』
福原一笛 演奏より

《26.石橋山》

2021年4月8日(更新)

* 頼朝が
   早朝より踏まえいる山は
    石橋山と称ばれていたり * 頼朝方の
   総勢は三百余騎
    平家方は三千余騎なり


* 頼朝は
   敗北の無念を 唇に噛んで
    熱涙をこらえていたり ~~ * 頼朝は
   幾度か駆けるたびに転び
    ~討死か~と想いぬ ~~ * 石橋山の
   戦いは源氏方の敗北で
    一瞬のうちに終わりぬ ~~ * 頼朝は
   ”事を成し遂げさせ給え”と
     鵯のごとく駆け行きぬ ~~ * 三百余人は
   一体となり 竿頭の白旗を
    見上げぬ


* 景時は
   頼朝の潜みを見届けながらも
    そのまま去りぬ ~~ * 平家方の
   梶原景時が 頼朝の
    潜みいる木陰に近づきぬ ~~ * 時政父子は
   箱根路から湯坂を越え
    甲斐へ落ちんとしぬ ~~ * 頼朝は
   己の不徳と 惨敗の責任を
    詫びたく思いぬ