『源 頼朝』
EL GENERAL YORITOMO
吉川英治作
~七百年の武家社会を築いた
《武将 頼朝》を詠う~


彷徨い人 中島孝夫

篠笛(横笛)『京の夜』
福原一笛 演奏より

《2.馬ねむり》
DURMIENDO A CABALLO

2018年8月15日更新

* 頼朝は
   父や兄たちと どこではぐれたのか
    気がつかなかりけり ~~ * 正清は
   頼朝を翌朝になりても
    見出すことができなかりけり * 正清は
   金王と別れ 頼朝さがし
    琵琶の湖畔に辿り着きぬ

Yoritomo
no se dio cuenta
en dónde se había separado
de su padre y sus hermasnos.
Masakio
aunque buscó a Yoritomo
a la mañana siguiente
no pudo encontrarlo.
Masakio
se separó de Kinoo,
buscó a Yoritomo
y llegó a la orilla
del lago Biwa.
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* 頼朝は
   かくの如き状態の中で
    父義朝たちから迷われしか ~~ * 頼朝は
   疲れ果て眠気に襲われ
    夢みつつ揺られていたり ~~ * 頼朝は
   鹿毛の鞍にまたがりいても
    十三の童子武者なりき ~~ * 頼朝は
   遅れしかと駒に鞭を打ち
    雪の中を狂奔しぬ ~~ * 頼朝が
   雪に凍てついた瞼を開いて見ると
    誰もいなかりけり

Yoritomo,
en este estado,
se separó de
su padre
y los demás.
Yoritomo
se vio, cansado,
sorprendido
por el sueño,
se balanceaba
dentro de
un sueño.
Yoritomo
aunque subía
en una silla
cubierta con
piel de ciervo
era sólo
un niño
de13 años.
Yoritomo
pensando
estar
retrasado
espoleaba
al caballo
corriendo
enloquecido
en la nieve.

Yoritomo,
al abrir los
párpados,
congelados
por la nieve,
no había nadie.
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* 男は
   ”待たぬか”と飛びかかり
     頼朝に竹槍を突きかけぬ ~~ * 頼朝は
   ”なにか”とも言わず
     おし黙りしまま馬を進めたり ~~ * 長柄刀を
   構えし二人の男も遠まきに
    頼朝を睨みいたり ~~ * 頼朝
   驚き振り向けば
    見知らぬ男が槍突きつけぬ ~~ * 頼朝が
   森山の宿にさしかかりたれば
    ”待て公達”と呼び止められぬ

Yoritomo,
al llegar al albergue
en el bosque de la montaña,
fue parado a la voz de:
“¡Espera, joven!”
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* 一人の
   男が長柄刀を片手に
    馬の口をつかみ寄りきたり ~~ * 男は
   獣の如き絶叫をあげ
    どす黒い血を噴きあげぬ ~~ * 頼朝は
   ”痴れ者”と叫び太刀を抜きざま
     男の頭を払いぬ ~~ * 男は
   苛立ち野太刀を抜き
    駒の鞍わきを追い廻しぬ ~~ * 頼朝が
   駒の頸に抱きつきたれば
    駒は脚を上げ後へ退きぬ


* 頼朝は
   重代の太刀も鎧も
    馬と共に捨て身軽になりぬ ~~ * 頼朝は
   恐怖を感じていたけれども
    馬は雪で脚を折りてしまいぬ ~~ * 馬は
   血を見しゆえか奮い立ちて
    雪風を裂いて走りたり ~~ * 頼朝は
   怯みいる残る一人をそのままに
    馬の尻を打ちたたきぬ ~~ * 頼朝が
   男の肘を斬り下げたれば
    血の傘が雪に拡がりぬ


* その晩
   頼朝は江州浅井の
    山里の小屋で眠りていたり