【良 寛 さ んを詠む
 
植野 明磧著


「良寛さんを求めて」
TRAS LAS HUELLA DE RYOKAN
2017年8月18日更新
《22.賢愚を超える~半兵衛の家》

* 一人の
   男が笑いつつ良寛に言いぬ
    ”そこは半兵衛の家だが” * 良寛は
   牧ヶ花村のある家の軒先で
    念仏を唱えんとしぬ


* 良寛は
   別の家の前にたち
    念仏を唱えかけはじめぬ ~~ * 良寛は
   怖そうに忍び足で
    この家より遠ざかり行きぬ ~~ * 女は
   良寛の耳元で囁きぬ
    ”ここは半兵衛の家ですよ” ~~ * 良寛が
   念仏を唱えかかると
    一人の女が傍へ来たり ~~ * 良寛は
   驚きてこの家を離れ
    隣の家のかど先に立ちぬ


* 良寛の
   恐れたる半兵衛とは
    いったい何者なのでありしか ~~ * 良寛は
   家から家へ逃げ回り
    隣村へと去り行きぬ ~~ * 良寛が
   どの家の前に立ちても
    ”半兵衛の家”と言われたり ~~ * 良寛は
   またまた驚きて別の家へ
    逃げるが如く移りたり ~~ * 若き男が
   近づき来て言いぬ”良寛さま
    ここは半兵衛の家だよ”


* 良寛は
   それ以来 半兵衛の名を聞くだけで
    怖がりふるえたり ~~ * 良寛は
   かって よいどれの半兵衛に
    ひどき目に遭わされしことあり ~~ * 半兵衛は
   大酒呑みの酒乱にて
    始末におえぬ男なりけり