【『義経記』を詠う】

彷徨い人 中島孝夫
~~ ~~
篠笛(横笛)『京の夜』
福原一笛 演奏より

《36.静若宮八幡宮への参詣の事》
SHIZUKA SE DIRIGE A WAKAMIYA HACHIMANGU

2017年8月18日更新

* 参詣せんと
   願を立てていたゆえ
    ”このまま都へは上がれぬ” * 磯禅師
   静に言いぬ”御身が無事ならば
    若宮八幡宮へ”

Al ir al santuario
había determinado
su petición:
“Así no podemos
volver a la capital”
Isozenji dice a Shizuka:
“Si te encuentras bien
vayamos a Wakamiya
Hachimangu”
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* 鎌倉殿
   仰せられぬ”義経の
    形見の子まで殺されたり” ~~ * ”静御前の
    評判高き舞を
     ご覧あそばされてはいかが” ~~ * 川越太郎
   ご参籠の無聊を慰めんと
    進言したり ~~ * 関東
   八か国の侍たちが
    そのお供を申し上げにけり ~~ * 鎌倉殿
   三島神社に参詣の
    精進を行わんとしたり

El señor
de Kamakura
dice:
“ A pesar
de haber matado
al hijo de
Yoshitsune”
“La fama de
Shizuka Gozen
como bailarina
es alta,
¿y si vierais
su baile?”
Kawagoe Taro
pensando
consolarlo
en el
aislamiento
del santuario,
recomendó...
Los samurais
de ocho paises
de Kanto
le pidieron
ir con él.
El señor
de Kamakura
decidió ir
al santuario
de Mishima
por devoción.
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* ”静の舞いに
    八大龍王も
     感銘したゆえなり” ~~ * ”静が
    舞いたれば三日間大雨降りつづき
     国土が無事に治まりぬ” ~~ * 梶原
   申し上げぬ”院の御幸なりて
    神泉苑の池の雨乞い催されたり” ~~ * ”人々が
    かように執心する静の舞とは
     如何なるものか” ~~ * ”静は
    何がめでたくて この頼朝の前にて
     舞うであろうか”

“Hachidairyuou
también quedó
impresionado
con el baile
de Shizuka”
“Al bailar
Shizuka
no dejó de
llover
durante tres
días,
el país
se salvó”
Kajiwara dijo:
“El emperador
se dirigió
al estanque
Shinzen-En
y se pidió
porque
lloviera”
“¿Cómo será
el baile de
Shizuka
que a
las gentes
tanto atrae?”

“Shizuka
no podrá bailar
ante mí
por ningún
acontecimiento
feliz”
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* ”静殿の
    評判たかき御舞を
     拝見したいとのことでござる” ~~ * 梶原は
   磯禅師に申し入れぬ
    ”鎌倉殿のご意向なり” ~~ * 梶原言いぬ
   ”この景時が取り計らいて
     舞わせ申しましょう” ~~ * 鎌倉殿
   宣いぬ”それでは 一舞見たいものよ
    誰に言わせん” ~~ * ”院より
    日本一との宣旨を拝領したと
     聞き及んでおりまする”

“Desea
contemplar
el alto valor
del baile
de nuestra
señora
Shizuka”
Kajiwara
lo solicita
a Isonozenji:
“Es el deseo
del Señor
de
Kamakura”
Kajiwara
dice:
“Yo. Kagetoki,
de todo me
encargaré,
le pediré
que baile”
“Entonces
veamos una
danza,
¿a quíen
pediremos
se lo transmita?”
“He oido
decir
que el
emperador
la ha declarado
la mejor bailarina
del país”
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* 梶原景時
   鎌倉殿に進言しぬ
    ”工藤祐経をお召しに” ~~ * 鎌倉殿
   梶原の報告を聞き申しぬ
    ”頼朝に威光のなきが如” ~~ * 磯禅師より
   この事を告げられ
    梶原は邸に帰りたり ~~ * 静は
   思いぬ”嫌な人の前で舞えなど
    言われるのも心外なり” ~~ * 静は
   これを聞き”ああ情けなや”と
    衣を被りて臥しにけり

Informado por Isonozenji,
Kajiwara volvió
a su residencia.
Shizuka piensa:
“Bailar ante quien
se odia
es algo deplorable”
Shizuka escuchó esto:
“¡Ah, qué vergüenza!”, dijo
y se cubríó la cabeza,
se dobló sobre sí misma.
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* ”説得を
    申しあげますれば
     目的を達せないことはございませぬ” ~~ * 妻女は
   祐経に言いぬ”お見舞いかたがた
    上手に機嫌をとりて” ~~ * 祐経は
   思案にくれつつ邸に帰り
    妻女に相談したり ~~ * 鎌倉殿
   祐経を召し仰せられぬ
    ”静に舞を舞わせてくれぬか” ~~ * ”工藤祐経は
    判官殿にお目を
     かけられていた者なれば”


* 妻女の
   琵琶の音と静の琴の音が
    溶け合い流れはじめたり ~~ * 磯禅師も
   白拍子を詠い
    静も別れの白拍子を詠いぬ ~~ * 妻女は
   静を訪ね 宴がはじまれば
    今様を詠いたり ~~ * 妻女は
   詩歌管弦により
    静を懐柔せんと思いつきぬ ~~ * 祐経の
   妻女は詩歌管弦のたしなみを
    身に付けていたり


* ”奥州の
    判官殿も嬉しく
     思われることでございましょう” ~~ * ”さすれば
    鎌倉殿と判官殿のお仲も
     お直りなされましょう” ~~ * ”明日
    夜明けにご参詣あそばされ
     舞を神前にご奉納なされよ” ~~ * ”ご一族の
    判官殿をお守り下さらない事が
     ございましょうや” ~~ * 妻女は
   静に説きぬ”鶴岡八幡宮は
    鎌倉殿の氏神なり”


* 廻廊の
   真中の舞台に
    三人の楽人現れ正座しぬ ~~ * 祐経は
   鎌倉殿に申し上げぬ
    ”静殿の舞の奉納は辰の刻に” ~~ * 祐経は
   壁を隔てて宴のすべてを
    耳そばだて聞いていたり ~~ * 静は
   寅の刻(午前四時)に参詣し
    辰の刻(午前八時)に舞の奉納と決めぬ ~~ * ”ご参詣
    あそばすならば喜んで
     お供をいたしまする”


* 二位殿の
   御座は鎌倉殿の隣に
    幕を張りて整えられたり ~~ * 鎌倉殿の
   御座は廻廊の中の間に
    御簾をかけて設けられぬ ~~ * 静は
   割菱の紋をつけたる水干つけて
    真赤な扇を開いていたり ~~ * 静は
   白い小袖に唐綾つけて
    白き袴を踏みつつ現る ~~ * 楽人は
   鼓の祐経 銅拍子の景時
    横笛の重忠なり


* 静は
   白拍子の「新無常の曲」を
    美しき声色で詠いけり ~~ * 静は
   鎌倉殿の御前での舞ゆえに
    気恥ずかしく思いけん ~~ * ”~にもかかわらず
     かくの如き美しき静を
      目の前にするとは!” ~~ * ”吉野山では
    吹雪にまかれ
     今年は厳しき東海道の長旅を...” ~~ * 二位殿は
   静をご覧になり仰せられる
    ”去年は冬の波の上に”


* ~吉野山
    嶺の白雪踏み分けて
     入りにし人の跡ぞ恋しき~ ~~ * ~しづやしづ
    賎のをだまき繰り返し
     昔を今になすよしもがな~ ~~ * 静は
   鎌倉殿にお聞き願わんと
    心に思いし詠いぬ