「おもむくままに」 スペイン短歌紀行 中島孝夫 


-コルドバ編 Cordoba-
イスラム教徒の最初の王都
8世紀、スペインに侵攻したイスラム教徒が、最初に王都としたコルドバは、グアダルキ
ビール川岸に沿ってひろがっている。 イスラム教とキリスト教の対立の歴史が、深く刻
まれているという。

<イスラム文化>
地中海の波路を越えてコルドバにイスラム文化の花が咲けり
Pasó en las ondas mediterráneas
 y en Córdoba se abrió
 la flor del Islám.

                      (Capital islámica)
<メスキータ>
メスキータの中は小暗き冷蔵庫からだ冷えきり外に飛び出す
小学生は課外授業そっちのけメスキータの中でかくれんぼする
イスラムとキリスト文化混在し白夢の世界に浮遊する如

La abrazada realidad
 cristiano islámica
 hace flotar al mundo
 en un sueño ideal.
                    (Mezquita)

<アルカサル>
コルドバのアルカサルには色がなくイスラムとの対立の歴史を思う
大きなる地底の岩をくりぬきしアラブ風なる風呂場の跡あり
<パティオ・レストラン>
コーランの祈りの声が聞こえきて手にするワインもコーランの味す

El oido se embelesa
 con la oración del Corán.
 El vino en la mano
 seduce la boca.
 Sabor gemelo.
                   ( Patio –Restaurante)

鉢植えの花と絵皿で飾られしパティオはさながら装飾店なり
盲目の人らと出会うレストランにわれ見つめられフォークを落とす
<はたご屋ポトロ>
朝日さす旅籠屋ポトロの前に立ち「ドンキホーテ」の騒動おもう
Ante la iluminada
 posada del potro ,
 luz de la mañana,
 tumultuoso Don Quijote
 recorre la memoria.
                  (Posada del Potro)
<ビアナ宮殿>
公爵の館に満ちるコレクション一級品をばいかに手中に
<セマナサンタ>
セマナサンタの行列通る道筋に有料椅子が並び置かれる
左手にセマナサンタのガイド゙ブック右手にカメラわれパレードを待つ
キリストの馬に乗りし像近づき来るにあらぬ方へ視線走らす我
最終の行列来るは真夜中に興味と忍耐の間に揺れる我
行列の見物切り上げキリストのテレビドラマをこころしてみる
<グアダルキビール川>
朝焼けのグアダルキビール川はあかね色にラ・カラオーラは黒く浮き出る
朝もやのグアダルキビル河畔にて朗吟すれば野鳥群れ飛ぶ

A la vera del Guadalquivir
 entre la bruma de la mañana
 levanto mi canto
 entre coro de batir de alas.
                         (Vera del Guadalquivir)

<ローマ橋>
ローマ橋は古代世界に中世の文化を渡らせし意義ある橋なり
中世の高度な文化が伝播さるローマ橋経てヨーロッパへと
La flor y nata
 de la alta cultura medieval
 cruzó el puente romano
 camino de Europa.
                       (Puente romano)
<町角>
狭き露路迷い歩けばまた同じレザーショップに店員ほほ笑む
城壁を測量しつつ愛を語る2人の若き考古学者いて
<メディナ・アサーラ>
千年の長き土中の眠りから目覚めし王宮姿を現す
Como una princesa
 despierta
 de un sueño
 mil años enterrado.
 Ciudad de la cortesía.
                       (Medina Azahara)

発掘されし王の居間の前に立ち広がる平原に栄えし都を描く

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